バスケとラグビー

高校生のときに、体育の授業でラグビーを経験しました。それを経験といっていいのかと自問すると、ちょっと足りないような気もします。それくらいしか、僕はラグビーに関わる経験がないのです。


いっぽう僕は、バスケットボールを小・中・高校生と、授業やら休み時間やらにさんざんやりました。走って、跳んで、大きめのボールをリングに通すというシンプルなこの競技がそこそこ好きでした。ですが、この競技で遊ぶようになってすぐのときからずっとずっと、この競技に対して不満に思っていることがありました。それは、ファウルの厳しさです。


ちょっとからだがぶつかったくらいで、すぐ笛がピー!っです。ぶつかったならまだしも、「触れた」レベルでも鳴るときがあります。アドレナリン出まくりで戦闘意欲高まりまくりで感情もむき出しになっているときに、ファウルを告げる横槍が入るもどかしさときたら、比肩するものを探すのに困るほどです。基本的に相手のからだに触れずにプレイする、そういうルールの競技なのだと言われればそれまでです。サッカーにおいて、手でボールを運んではいけないことに怒っても仕方ないのと一緒です。


バスケットボールに対しての、楽しさを認める気持ちと、つのらせたつまらなさと諦観とを混在させながら、高校生の体育の授業で出会ったのが、ラグビーでした。このスポーツとの出会いは衝撃的でした。からだが触れる、おかまいなし。押す、当たる、おかまいなし。なんだったらつかむ、つかまえる、倒す、ありあり。その野性味にホレボレしました。それに比べると、バスケットボールのなんと過保護なことか。いえ、ルールですから、比べるのがおかしいのですけれどね。とにかく、ラグビーのフィールドでなら、僕はその闘争心をフルに解き放てるのではないかと希望を抱いたのです。


それでラグビー部の門を叩き、実際に経験してみると紆余曲折……というようにはなりませんでした。僕のラグビー経験は、授業で希望を抱いて終わりです。結局僕は高校生活のほとんどを、ギターやベースのアンプやらドラムセットやらが置かれた、無機質な部屋のフロアで過ごします。そっちに行ったまま、未だに帰ってきていません。いえ、そもそもはじめからそちら側でしたけど。



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