好奇心のマネージャーは融通利かせ屋さん

本屋さんによく行きます。お目当ての特定のタイトルを探しに行くこともあるし、そうでないときもあります。僕にとって、お目当てのタイトルが何かあることは、本屋さんに行く口実に近いです。お目当てのタイトルがあってもなくても、必ずと言っていいほど、ほかの何かおもしろそうなものが見つかるからです。そうやって、お目当てのタイトル以外の何かがレジを通って僕の家に連れて来られるという事件が頻発しています。


なかなかそうして連れてこられたものたちのはじめのページから最後のページまですべてに目を通すことはむずかしく、未読部がある本たちが溜まってしまいます。それでも少しずつ消化していくのですけれど、溜まっていくペースのほうがやや上回るのが僕のここ近年の様子です。


知らなかったこと・ものたちがパチリと目をひらき、輝きをはなってこちらを向いてならんでいて、僕は本屋さんに、そんなものたちの視線を浴びに行っているようなものです。もう消化しきれないから、輝きの持ち主と目線があわないようにいくらかセーブしなきゃ帳尻が合わないと思いながらも、そろりと半分くらいまぶたを上げてみたらば最後、僕の家にまた知らなかったもの・ことを載せた紙束が引っ越してくるわけです。


紙束だけでなく、いつも持ち歩いて手近なところに置いているスマートフォンを介して、知らなかったもの・ことがこちらに視線を向けています。新しく何かを知って、わかって、消化するための時間は限られていて、消化待ちをしているものがある現状だというのにも関わらず、割り込みを受け付けてしまう「融通利かせ屋さん」が僕の中にいるようです。ちょっとは長い休暇のひとつやふたつとればよいものを、昨日もおとといもばりばり働き続け、いつも元気に仕事をしてくれる「融通利かせ屋さん」。僕の持つ「好奇心」の良きマネージャー、とでもいったところでしょうか。


いまだ知らなかった、輝きを放つものたち。その存在を知れば知るほど、点が面になり、面が立体になって、こちらに迫ってきます。それでいろんな模様が見えてきて、この宇宙の本当の姿が見えてきて、今までよりもっとまた、おもしろくなってしまうわけですね。宇宙の膨張って、こんな感じに似てるのでしょうか。



お読みいただき、ありがとうございました。