問いかけとベストセラー

わからないものは売れない……のでしょうか。わからないという感想を想定していて、売れないかもしれないと思っていても、出版社がその本を出す……ということがあると聞きます。ごくひと握りのベストセラーのおかげで、たとえ売れなくても問いかける意味でいろんな本をつくって出すことができるのだ、とも聞きます。


出版社のことに僕は明るいわけではありませんが、個人の人生において、何を選び、なにをやるかということに似ている気がします。たとえば、おもな収入を確保するための仕事をする傍ら、趣味的な研究をしたり、ボランティアしたりするといったことです。


ボランティアや趣味的な研究をするために働いていると言う人もあるかもしれません。働いて収入を得ることが、ボランティアや研究や趣味活動を担保しているとも言い換えられます。本当にこの社会になくてはならないことだったり、あるいはおのれの人生において重んじていることだったりするのが、そうした活動なのかもしれません。


おそらく、そうした活動と、主な収入源を得るための仕事と、どちらが果たしてこの世界にとって必要かと問われれば、おそらく両方だと、ある意味期待を裏切らない答えを言わざるを得ません。両者は表裏一体であり、切り離して語ることができないものなのだと、ここでは言っておきます。


わかりやすく受け入れられやすいものがこの世にあればあるほど、その裏には難解だったり平易には受け入れられなかったりする「問い」があると言ってもいいかもしれません。また逆に「問う」ことをしなければ、広く受け入れられるいわゆる「ベストセラー」も生まれないのではないかという仮説も立ちます。


はたらきなさい、そして、問なさい。そう僕はじぶんに言って聞かせます。お耳を貸してくださり、ありがとうございました。