しがない

僕は、父親ですか?


僕は、妻の夫ですか?


僕は、職場の同僚ですか?


僕は、ある夫婦の2番目の子として生まれた、次男ですか?


僕は、東京は武蔵野台地のほぼ中央部に位置するといわれるある街の出身者ですか?


僕は、その街の学校に通い、そこから少し東に離れた高等学校に通い、さらにそこからいくぶん東に離れた大学に通い、学問を修めた卒業生ですか?


僕は、楽器を携えてステージに上がり、歌ったり奏でたりする音楽家ですか?


僕は、植物や動物の命を食んで生きながらえる強者ですか?


僕は、自分のお金や時間を差し出し、搾取の対象とされる弱者ですか?


僕は、二本の足で立って歩く人間ですか?


僕は、地球に巣食う寄生生物ですか?


僕は、きみ以外の何かとしての僕ですか?


僕は、


僕は、


僕は、


……





あなたにとっての何かであるとき、僕は、「きみ」である。


「きみ」に「君」という字をあてることもできるけど、「公」という字もあてられる。


「公(きみ)」にとっての何かであるとき、「私(わたし)」はどこにいるのだろうか。


「きみ」がいなけりゃ、「わたし」もない。


「わたし」は、どこにいるんだろうか。







自由に、ふるまう。


自由に、こたえる。


読んでくださり、ありがとうございます。