「半端ないって!」「だいこくさま」〜ホットトピックと思い出話〜

心からの声。こみあげて、溜めてなんておけない。発する以外、どうしようもなくなった吐露。本当にその対象の凄さを認めるには、それだけ自分たちがその対象と全力を尽くして向き合う必要がありますよね。どんなに全力を尽くしても、そんな自分たちを凌駕した存在がいた事実を、受け入れなければならなかった。その事実を、身をもって知ってしまったから、逃れようがありません。自分の心の中だけにとどめておくなんてできない。誰かと共有せねば……この抱えきれない事実を一緒に負ってもらわねば……誰に?  隣の人に?  仲間?  自分の姿を見ているかもしれないあらゆる人に?  そんな「範囲」なんてものを気にするようなすき間は一切ない。とにかく自分を包む空気すべてに向かって、全身から光が漏れ出るみたいに、こぼす、こぼす。漏れ出る以外なかった光は、あらゆるところに反射して、あらゆる人に、届く、届く。必然だったかもしれない。


なぁ、凄くない?


凄いよなぁ?


出来ないよ。


アレはどこまでもいくよ、絶対。



「大迫、ハンパないって!」



……そんな感じでしょうか?



ワールドカップで盛り上がっている人がたくさんいるようです。僕もかつて、ワールドカップのゆくえを夢中で追いました。いつひっくり返るかわからないサッカーの試合の流れから、目が離せませんでした。同じタイミングで近所の家から歓声が上がったり、悲嘆がこぼれたりするのが聴こえたものでした。


自分でもサッカーをプレイしたことがあります。小学校6年生になるとき、地元のクラブチームに1年間だけ所属して、小学校を卒業するまでの間、練習や試合に参加しました。家から北側の線路を越えたところにあった、自分の通う小学校とは別の小学校のグラウンドで活動が行われていました。「高齢なのに元気」で名物の監督が主宰するそのサッカーチームの通称は、「SR(エスアール)サッカークラブ」。「縄跳びクラブ」が母体になって鞍替えしたサッカーチームだったそうで、「SR」は「さわやかリズム」の略なんだと教えてくれたのは、僕と同じ小学校に通う同級生でした。「ダサっ」という声を心の中にしまって、その同級生と苦笑いを分かち合った記憶があります。


1年間活動をおこなう中で、その最後の方に出た試合がありました。左足の先っちょで掠ってコロコロと転がりゴールラインを割ったような、泥臭いという程の熱量もない1点を、自分の足で決めたのです。それは、本当に嬉しいことでした。小学校の卒業とともにクラブを卒業する前の、最後の思い出になりました。


それから中学校に入って、僕は野球部を選びました。サッカーは、昼休みや体育の授業でやる機会がありました。エキサイティングで、いつも楽しかったです。「スポーツは、観るよりやる方が好き」といつも思っていたし、そう人に話すこともありました。


その時期にワールドカップがやってきたのは、ちょうど僕が高校生になった最初の年だったかと思います。三都主アレサンドロさんだとか、中田英寿さんだとかが活躍した日本代表チームだったと思います。それまで、代表チームの中では知名度が低い方だった大黒(おおぐろ)選手というのがとても大事な局面で得点し、「だいこくさま」なんていってメディアに扱われて大変話題になったことを覚えています。


あのときの「だいこくさま」みたいな熱量の渦巻きが、今の「大迫、ハンパないって!」に重なります。