イノベーター・お節介おばさん

僕はギターやピアノの弾き語りをします。自分が歌うための曲を作ったりもします。音楽以外の分野においても、新しいもののアイディアを出そうというとき、何かと何かの組み合わせを模索する発想法があるかと思います。音楽の場合、元になる二つのオリジナルをそのまま混ぜただけでは、ただの同時進行メドレーみたいになってしまいますから、小さな工夫で盛り付けてメイクアップしたり、融合させるための小技みたいなものが相当数必要になるでしょう。分野を問わず、そうかもしれません。


もとになるオリジナルがはっきりと「二つ」ではなく、たくさんある場合というのが作曲においてはどちらかといえば多数派かと思います。もちろん明確なコンセプトを決めて、絞ったオリジナルの「組み合わせ」から発進する作曲もあるかと思いますが。生きていくなかで触れ合ってきたたくさんの音楽たちがカクテルされて、原形がわからなくなって滲み出てきたものがなんかすごい美味いかも!?みたいな瞬間に、胸のわだかまりがスッと溶けたような、閃きの感覚があるように思います。あるいは、もう少し先にある場合も少なくありません。


特定の何かの組み合わせで新しいアイディアを出そうという場合も、日頃無意識に親しんだり、あるいは知っているようで通り過ぎてきたたくさんのものの中から、「コレ」と「コレ」はどうだろう?と取り出して、擦り合わせたり、ぶつけてみたり、いろんな可能性を探ることになるでしょう。世にあふれるあらゆる「モノ」「ヒト」「コト」、それらの「関係性そのもの」に、常日頃から「顔を売ったり売られたり」のストックをしておくことが、組み合わせのヒラメキにおいても重要なのではないかと思えます。


あと、問題を見つけるのは、「お節介な心」かと。ことに若い男子なんかは、オカンみたいな「お節介おばさん」的な存在を疎みがちですが、それこそ自分の持ち合わせていない資質がそこにあることの反証であるともいえます。問題を見つけたその先に、「あ、この組み合わせ、使えるかも?!」がやってくるのでしょう。「お節介おばさん」は、優れたイノベーターかもしれません。