まとをいる

弾の1発だけ入った銃を渡され、どれだけ的の中心を射抜くことができるか。

人を成長させるのは、やり直しの利かない実戦経験のみである。

たとえ「見習い」としてだろうと、実戦がおこなわれている現場に立つことが必要である。

はじめから一人前のひとはいない。

学校というビジネスがずいぶんはびこった。

実際の戦場に立つ前に余計な猶予をもうけさせ、授業料をとる商売である。

「見習い」や「半人前」になることにさえ、ある程度の素養が必要と考える人が多いようである。

世の中にいろんな職業があるからひとくくりには言えないが、なにが必要になるかわからないからお道具をいっぱい準備して、いざ現場に立ってみると先輩に「お前そりゃ使えないよ」と言われてしまい、結局現場でイチから準備し直すようなことが、日々あちこちで起こっているのじゃないかと思う。

子どもが減っていると嘆かれる。学校ビジネスはいま、儲かるんだろうか。

(職業的な)その道の学校を卒業して、すべての人が実際にその職業に就くわけじゃない。その率が高い業界もあるかと思うが、ひと握り(ならばまだ良い、湿気て塊になった卓上塩の穴から漏れ出るほどわずかな量)の人しかそれがかなわない業界もうんとある。そうした学校に入学し、授業料だけを払って他の業界へと散っていく人もままいる。

(子どもが減っているのなら、その道への就業を目的としない、大人の学びを提供するビジネスが日々生まれていることを想像する)

この話に象徴されることで思い出すのは、プリペイドカードの商売だ。

すべての人があらかじめ収められた額面を使い切るわけではない。引き出しにしまって忘れらたり、紛失したり、持ち主がこの世からいなくなってしまったりして、絶対に利益が上がるのだと聞いたことがある。

このへんの法律的なことがどうなっているのか気にならないこともないけれど、自分で調べるのも億劫だし専門家をつかまえて話を聞いたら、高額な請求をされそうで今のところ動いていない僕である。(せめて、まずはググるか)

自分が売る立場だったら、前金でさんざん未来のサービス保証を売りさばき、保証できないほどの利益だけが積み重なったら怖くてならないように思うのだけれど。

打席に立つ前の人を対象にしたビジネスがあるということ。

それが良いとか悪いとかいうのでもない。

ビジネスをしたければ、打席に立てばいい。

そうするほかもない。