相馬野馬追のドキュメンタリーをテレビで見たことがある。
いつだったか、だいぶ前だ。
それぞれの生活の都合と、地元の一大事。そこに震災や原発事故の影響が複雑に絡み合い、離れて暮らす家族が集まるとか集まらないとか、祭りや神事は開催されるのかどうなのかとか、開催されるとして家族の誰々は参加するのかしないのかとか、参加するべきなのかどうなのかとか。
おおきな出来事に翻弄され、揺れ動きながら、それでも必死で大事なものをつかみ取ろうとする人々の心の機微を見たような気がした。
地元を結ぶものとはなんだろう。
歴史の重みか。
土地への愛着か。
純粋に目の前の楽しみか。
たくさんの観点の糸が秩序めいて撚りあって、
一本の、しめ縄みたいなものをかたちづくる。
神殿や鳥居に囲まれた神樹のような、
独立した生きた存在。
そこにあるものをありがたがる気持ち。
見上げた空は同じなんてよくいうが、
足下の地面だって、地続きである。
ありがたいなぁ。