声の合成

人によって、声の周波数の特徴は違います。


いろんな帯域の周波数の音が複雑に合わさって、その人の固有の声となって認知されます。


同じ帯域の周波数の音が重なると、音の波が合成されて大きく聴こえます。


合唱やオーケストラのアンサンブルが、とんでもないパワーを持って聴き手に迫るのは、この音の合成の効果があると思います。


よい効果として発揮されれば人をひきつけ、感動を与えもします。


居酒屋なんかで、うるさくてしょうがない隣のテーブルなんかでもこの音波の合成が起こっていると思われます。


個別の音だけでは出せない大きさの波があらわれるので、合唱やオーケストラの発揮するようなものすごいパワーが不快な方向に働くと、それはもう絶望的なうるささとなるでしょう。


声は人によって周波数の分布が異なりますが、人間という器官としてみたとき、その発声の構造はみな同じです。そのためか、やはり共通する帯域、重なりやすい帯域が存在します。


日本代表のサッカーの試合で、観客席からあがる応援歌を聴いていると、いつも同じ声に聴こえます。その内訳となる個人は毎回入れ替わり、何万人もの聴衆の同じ組み合わせがあらわれることは2度とないであろうに、結果的に合成されるひとつの固有の人格があるように思えて、不思議です。


力の合成を認知して、上手に利用したいものです。